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タイトル : ヘ音や
日 時 : 2008年05月17日(土) 20:00~
会 場 : Radio & Records ( 札幌市西区琴似1条4丁目2-15 ニシムラビル3F[map
] [URL
] )
出 演 : ヘ音や(河合修吾(tb), 渡辺文(チェロ), 釜鈴徹(5弦bs))
タイトル : ヘ音や
日 時 : 2008年02月16日(土) 20:00~
会 場 : Radio & Records ( 札幌市西区琴似1条4丁目2-15 ニシムラビル3F[map
] [URL
] )
出 演 : ヘ音や(河合修吾(tb), 渡辺文(チェロ), 釜鈴徹(5弦bs))
2007年8月以来、半年ぶりの「へ音や@Radio & Records」。
1回目のライブを、素敵に、そして華麗にやりのけた後、ライブのたびに事件が起こるという噂の「へ音や」。2回目のライブ[report]は、メンバーの入院で、「へ音や風」になってしまったし、今年1月の砂川ライブ[report]は、メンバーの一人が、ライブ直前まで一寸したトラブル状態。さらに、帰りには、車を埋めてしまうトラブルまであったらしい。このときは、メンバーだけではなくて、観客であるはずの僕も、砂川を通り越して深川まで行ってしまうという大失敗をしでかした。
というわけで、「今回は、どんなトラブルが」と、ドキドキワクワクしていたら、単なる「悪天候」だけで、超安堵。ええ、ちょっと吹雪いて、店の窓から向かいの建物が見えなくなる時があっただけさ。大したことない、これくらい。そう言いながらも、「もしかして、お客さん、これなかったりして」と心配していたけれど、ライブ15分くらい前からどんどんお客さんが入ってきて、あっという間に満席。すごいぞ、へ音や。実質2回、それも、札幌では1回しかライブしていないのに、もう、こんなに人気爆発。次のライブからは、予約入れておかないと、座れないことになりそう。
オープニングは、ビートルズの"Fool on the hill"。
直前のアクシデントと、リハーサル時間が足りない中で音をまとめなくてはならなかったためか、意識的に他のメンバーとの息を合わせたり、ほかのメンバーを気遣ったりで、自分の演奏にに没頭できないように見えた「へ音や風」ライブのナーバスな音とはちがって、今回は、いきなり「真剣勝負」の様相。静かに優しい演奏なのに、置く深いところに流れている緊張感。良い意味で、3人が遠慮することなく「自分のへ音や」のための音を出しているにもかかわらず、3人の音がきっちり組み合わさって「3人のへ音や」の音になっている。
アレンジの効果か、メンバーの思い入れの強さか、はたまた、たまたま彼らの音にフィットしているのか、"Fool on the hill"が、彼らのオリジナルに聞こえるところが面白い。本家「へ音や」で、この曲を聴くのは2回目(深川のときは、遅刻したので演ったかどうかわからない。たぶん、演奏したと思うんだけど。)なんだけど、すでに「彼らの曲」だ。
この曲以外にも、"Calling you"と"Alfie"も、もはや彼らの曲と言っていいかもしれない。特に、"Alfie"は、釜鈴さんがぞっこんで、ヘ音やで演ることが決まった時に、ほかの2人に演奏者やアレンジの違う演奏を数十種類送りつけたというエピソードがあるくらいだ。それだけなら「メンバーのこだわりの曲」で終わるところだが、ほかの2人も只者ではないので、その数十種類の"Alfie"を何日も聴き続けたというから、彼らがこの曲にかける情熱は、半端ではない。
前半の演奏は、『アランフェス』と『スペイン』という、スペインつながりの、しかし、対照的なイメージの2曲で終了。
『スペイン』は、オリジナルを聴いていてもドキドキするくらい難しそうな曲なのだけれど、これを目の前でへ音やアレンジで聴くと、もっとドキドキする。1月の砂川では「1回目は、失敗した」らしいのだけれど、今回は、難なくクリア。「わざわざ、こんな曲を選ぶなんて、もしかして、3人ともM属性?」などと、わけのわからないことを妄想していたのだが、実は、これは序の口。
今回のクライマックスは、後半2曲目のバッハだった。
『音楽の捧げもの』の1曲目の『3声のリチェル力ーレ』。砂川ライブで始まったバッハシリーズ。普通は、鍵盤楽器で演奏する曲だよね?いや、バッハの曲は、作曲者が意図していない楽器で演奏されたり、楽器の指定がなかったりするから、トロンボーン、チェロ、ベースで演奏して行けない理由はないのだけれど、鍵盤でさえ面倒そうなフレーズが、この3つの楽器で弾けるものなんだろうか。それも、バイオリンやギターのように指や腕の移動距離が短い楽器ならいざ知らず、何を好き好んで、あんな腕も指も動かさなくちゃならない楽器で...。曲の後のMCで「楽譜通りに演奏しました」って。信じられん。3人とも、かなりM属性に侵されてるんじゃないか。
演奏している3人には申し訳ないけれど、スリルは満点。3人全員が奏でる音が織りなす、音のタペストリー。繊細な感じと透明感は、ガラス細工と言ったほうがいいかもしれない。巨大なグラス・タワーを積んでいく作業を見守っているような緊張感。どこかで失敗すれば、それまでの努力は水泡に帰すのがわかっているだけに、自分が演奏しているわけでもないのに、息が詰まるような気持ち。曲が終わったとき、なんとなく息苦しいと思ったら、「息が詰まる気持ち」どころか、実際に呼吸が浅くなってたらしい。
これぞ、へ音やの醍醐味だなぁ...と、勝手に納得。「すごいなぁ」と感心していたら、本人たちの自己評価は「もっとがんばりましょう」だったらしい。うーむ、音の道は厳しい。
アンコールは、"Isn't she lovely"。「へ音や風」の時に助っ人参加した広瀬いずみさんがピアノで参加。ベースが入ることでピアノに対抗できる勢力圏が構成されたのか、和音が入っても違和感がない曲だったのか、広瀬さんが「和音の誘惑」に抗したからか、「へ音や風」の時のように「偉大なるピアノの存在」という感じはないけれど、やっぱり「へ音や風」に聞こえるんだな、これが。できあがっている音に、新しい音を違和感なく加えるのは、さすが、プロといえども難しいらしい。演奏後、「ピアノが和音を使ったので、あとでお仕置き」と釜鈴さんのコメントが笑いを誘っていたけれど、「ピアノに和音弾くな」って言うのが無理なんじゃないか...と。次回は、モノフォニックのシンセサイザーで参加していただいたら?
もっと聴いていたかったけれど、続きは次回のお楽しみ。次回は、2008年5月17日(土)の予定とのこと。今から、楽しみ。実は、すでに、あの息詰まるような「バッハ」を聴きたかったりするのだった。
曲目リスト
=======
- Fool on the hill ( The Beatles )
- Bluesette ( Toots Thielemans )
- Calling you ( Jevetta Steele )
- Alfie ( Burt Bacharach )
- Concierto de Aranjuez ( Joaquín Rodrigo Vidre )
- Spain ( Chick Corea )
--- 休憩 --- - 曲目不明
- 3声のリチェル力ーレ~音楽のささげもの ( J.S.Bach )
- How Insensitive ( Antonio Carlos Jobim )
- The April Fools( Burt Bacharach )
--- アンコール --- - Isn't she lovely ( Stevie Wonder ) with 広瀬いずみ(pf)
タイトル : へ音や ライブ
日 時 : 2008年1月20日(日) 19:00~
会 場 : はーもにー ( 砂川市砂川東6条北11丁目4 [map
] )
出 演 : へ音や
ベースの釜鈴さんが緊急入院してしまったために、ついに聴くことができなかった、去年11月のライブ([url])から、約ふた月。ついに釜鈴さんが復帰した本物の「へ音屋」を聴くことができる日が...と意気込んで砂川へ。「冬だから」と時間にたっぷり余裕を持って出かけたのだが、意気込みすぎて、気がついたら深川にいる僕。時刻はすでに19時10分前。「砂川、滝川、深川なんて、川の付く地名が続くのがよろしくない」と怒ってみたものの、時間が戻るわけもなく、半べ状態で、はーもにーにたどり着いたのは、ほとんど20時。(実は、さらに、お店の近所で迷って時間を喰った。)
終わっちゃったかなぁ...と思いながら、店をのぞきこんでみたら、もう少し演る気配。うれしかったなぁ。
席についてすぐに始まったバッハ。
気持のいい音を紡ぎ出す釜鈴さんのベースが聞こえるというだけで、十分嬉しい。河合さんもあやさんも、前回の「へ音や風」の時よりも、リラックスして楽しんでいる感じがする。前回の「へ音や風」も悪くはなかったのだけれど、突然のことに動揺してただろうし、準備期間が短かったこともあってか、3人とも自分の居場所を求めてさまよっている様な音だった。あの時は、あの騒ぎの直後というのに、ちゃんとした演奏になっているところがプロだなぁと感心したりしてたわけだけれど、やっぱり「良い状態」とは言えなかったんだなぁと、今更ながら思う。
ラテンの曲に移っても、3人の音の安定感は変わらない。3人とも、「いつ他の2人に寄りかかっても大丈夫」と信じているかのように、危ない所を平気な顔で渡っていく。こういうのは、トリオのおいしいところ。2人だと支援隊が不足だし、4人以上だとハラハラドキドキ感が減ってしまう。信頼していた他の二人がコケると大惨事になるというのに、そんなこと、まったく想像もさせないところが素敵。
さらに、今回は、釜鈴さんの新兵器も登場。その名もディストーション(だと思う。)。その昔、キング・クリムゾンが歪ませたベースにフェイズシフターかけて、左右に飛ばしていたりしたけれど、まさにあんな感じの音。もしかして、この3人の演奏で『21世紀の精神異常者』とか聴ける日が来るのか? "Easy money"でも良いけど。...と考えていたら、意外とイケそうな気がしてきた。演るのは彼らなので、彼らにとっては、こんな「聴き手の勝手な想像と期待」は迷惑だと思うけれど。アレンジも演奏も大変そうだな。この新兵器、使い方をまちがえると「音は厚くなったけど、どことなく安っぽいね」ということになりかねないので、「ご利用の際は、慎重に」ということになりそう。
すでに、彼らの曲になりつつあるCalling you。前回のライブのときは、まさに『Calling 釜鈴』と曲名を変えた方がいいような「帰っておいでよ」になっていたけれど、今回は、感情移入抑え気味バージョン。前のも「泣きのcalling you」で悪くないんだけれど、いつもあれでやられると、キツいかなぁ。特に、落ち込んでる時に聞かされると、立ち直れなくなるかもしれない。それに比べて、今回は窓の外の雪景色を見ながら聴いていると、いい感じにしんみりする。「感情移入すれば良いというものではない」といういい例かな?きっと、こういう状況でウイスキーでも飲むと、「おとな」な気分満点なのだろうけど、残念なことに、僕の足は今回も車。
2回のアンコール。1曲は『スペイン・リベンジ』。どうも、僕が国道12号線をさまよっている間に、1回目のスペインをやった時に色々あったらしく、アンコールは、そのリベンジとのこと。演奏は、「リベンジ大成功」と思うのだけれど、渡辺さんは、1回目の失敗がよほど心残りらしく、自虐ネタにするくらい悔やんでいる。ちなみに、「いろいろあった方も、聴きたかったな」などと、意地悪なことを考えるあたり、やはり、僕は「おとな」になり切れてないらしい。やっぱり、お酒は飲まなくて正解。
次は、2月の札幌。今度は遅刻しないようにしなくちゃ。
タイトル : ヘ音や風
日 時 : 2007年11月17日(土) 20:00~
会 場 : Radio & Records ( 札幌市西区琴似1条4丁目2-15 ニシムラビル3F[map] [URL] )
出 演 : ヘ音や(河合修吾(tb), 渡辺文(チェロ), 広瀬いずみ(pf))
へ音やのデビューライブを聴いて、はや3ヶ月。待ちに待ったへ音やのライブだぁ!と楽しみにしていたら、こんな([url][url])お知らせが...。ベースの釜鈴さんが緊急入院....。
ということで、今回は、ゲストにピアノの広瀬いずみさんが加わった「へ音や、みたいなぁ」というスペシャルグループに。ちなみに、いつもは、渡辺さんが男二人を従えて...というトリオなのに、今回は、河合さんが「女性2人をはべらせて」なグループに。でも、自称「シャイな男」である河合さんは、チャンスを生かすこともなく、いつもの定位置(向って右側)にセット。せっかくなんだから、真ん中に座って「両手に花」状態になればよかったのに。
さて、演奏。
やっぱり、いつものメンバーが揃っていないと、ずいぶん違和感がある。「いつものメンバー」と言っても、僕は、一回しか体験していないのだけれど、演奏を聴きながら「これは、『へ音や』ではなくて、『へ音やっぽい音』だなぁ」と思ってしまうのは、初回のインパクトが強かったからなんだろうな。初めてのライブで「これが、自分たちの音です」っていうのを聞かせてしまった3人って、すごいのかも。
ただ、その印象の強さが、今回のライブでは、裏目に出た感じ。リハーサル期間が短くて大変だったり、精神的に動揺したりというのがあったはずなのに、演奏そのものには問題があるとは思えない。けれど、頭の中では「へ音や」の音が回っているために、何を聞いても「なんか、違う」と思ってしまうのだ。メンバーが1/3違うんだから、音が違って当然なのに。こうなると、個性が強いのも考えものだ。むむぅ、悩ましい。
ピアノと言う「和音が弾ける楽器」が入ってしまったために、前回のライブの売りだった「単旋律楽器3台が奏でるメロディが作り出す微妙なバランス」が、消えてしまったのが痛い。「ピアノの演奏者に問題がある」という話ではない。楽器そのものの特性の問題だから、演奏者としては、どうしようもないのだと思う。
なにしろ、ピアノがバーンと音を鳴らすと、単音楽器が一生懸命紡いだ音が、一瞬にして吹き飛んでしまう。「良くも悪くも、ピアノって、すごいなぁ」と思った瞬間だ。さすが、「楽器の王様」って言われるだけある。そして、「王様」の存在は、どうしても王様中心の世界を構成せざるを得ず、あの「3人の綱引きによる、バランス感覚」は、失われてしまう。。
さらに、和音が作り出す圧倒的な音の厚みも、あのへ音やの音にはなかったものだ。バロック時代に、あんなに流行っていた対位法が、和声に駆逐されてしまった(...ってのは、かなり言いすぎだけど)理由がわかる気がする。対位法みたいに難しいこと考えなくても、「この音の並びには、この和音」ってハメ込んでいけば、あっと言う間に分厚いサウンドができ上がる....ように、素人には思えるけど、これは、きっと僕の偏見。
いずれにしろ、素人の僕には本当の原因がわからないけれど、ピアノから和音が飛び出してくるたびに、「へ音や」とは違った世界を構築してしまうのだった。今までは、ピアノの音や和音の効果を、こういう感覚で聴いたことはなかったので、それはそれで興味深くて、どうなっていくのか気になる。こんなことは、聴き手が口を出すことではないけれど、ピアノに対して「和音禁止」「単旋律only」という拘束の下で演奏してもらえたら、、へ音や(基本セット)が出していた音に何かが加わった音になっていたかもなぁ。
とはいえ、Calling youでは、3人がへ音や(基本セット)と勝るとも劣らない素敵な音を紡いでいた。物悲しさと切なさ満点。なんとなく、「早く帰っておいでよ」と、入院中の釜鈴さんに呼びかけているように聞こえたのは、気のせいか?
釜鈴さん、早く元気になって帰っておいでよ。みんな、待ってるよ。
タイトル : ヘ音や
日 時 : 2007年08月18日(土) 20:00~
会 場 : Radio & Records ( 札幌市西区琴似1条4丁目2-15 ニシムラビル3F[map] [URL] )
出 演 : ヘ音や(河合修吾(tb), 渡辺文(チェロ), 釜鈴徹(5弦bs))
このグループの話を聞いた時は、正直言って、ひぇ~...と思った。この夏の暑苦しいときに、なにも低音楽器ばっかり集まってライブしなくても...。数年前の夏に、ついついまちがって、『ヨーヨー・マ プレイズ・ピアソラ』をかけてしまったときに、スピーカーから雪崩出してきた暑苦しさを思い出したからだ。いや、チェロ、好きですよ。バッハの無伴奏なら、真夏でも聴けるし。釜鈴さんが弾くようなメロディアスなベースも好きだし、河合さんの優しい音もお気に入り。でも、真夏に3つ集まると....。ねぇ。
でも、やっぱり、行っちゃうのは.....怖いもの見たさ?夏の暑さを、さらに満喫したい?
というわけで、低音楽器トリオのライブ。
全然、暗くない。全然、暑苦しくない。
バロックでもプログレでもない音楽で、「すべての楽器が、単音」「コード楽器無し」ってのを聴いて、久しぶりにわくわくする。コードが土台を作って、その上に他の音が乗っている安定した音楽よりも、一歩まちがうとすべてが崩れてしまうような繊細さをもつ「すべてが旋律を奏でうる」音の方が好きだ。ガラス細工とか、昔、香港で見た「竹で組んだ工事現場の足場」を思い出す。「あ....、崩れるんじゃないか?」とひやひやしながら見てるけど、達人がやると、絶対崩れない。(ときどき、下手打って、壊れちゃったりするけど。)あのスリルがたまらない。音も同じだ。
ただ、この「ガラス細工」を成功させるには、メンバーそれぞれのメンバー全員のバランス感覚が要求されるから、「グループ」でやるのは、結構、難しい気がする。バロックの曲だと、すでに楽譜があって、すでに確立された演奏方法があるから、プロたるもの、あまりメタメタなことはしない....ような気がするけど、最近の曲の場合は、 たとえば、はるか昔に見たJeff Beck(g) + Stanley Clarke(Bs)みたいに、「目立つのは、オメエじゃねぇ、オレだぁ。」大会になってしまったりする。逆に、Carlos Santana(g)とHerbie Hancock(key)の時のように、お互い譲り合いすぎちゃうとか。
1曲目は、僕の席では楽器の音量のバランスが、いまひとつ。ベースがリード取ってるときに、チェロの音がかぶさってしまった。(え?チェロって、エレクトリックベースよりデカい音、出た?と思ったら、ピックアップがついてた。ああ、びっくり。)「ありゃ、これは失敗か?」と思ったれど、いつしかバランスをとったらしく、2曲目以降、いいバランスに。目をつぶって聴いていると、時々、ひとつの楽器の音に聴こえるときもあるくらい音が溶け合ったり、2対1に分かれたり、はたまた、3人それぞれが個性を主張したり。なんか、音でダンスをしてるみたいだ。
途中で気がついたのだけれど、このトリオ、音程がカッチリ決まっている楽器(Bs)と、微妙なピッチを変えられる楽器(VcとTb)、音を持続させられる楽器(VcとTb)と音が減衰していく楽器(Bs)、弦(VcとBs)と管(Tb)....などなど、いろいろな組み合わせを作れるんだな。
後になればなるほど、音のバランスは良くなってきたような気がしたのは、単なる思い込みかな。
最高だったのは、ベースの釜鈴さんがソロをとる時に、チェロがベースラインを弾いた時。チェロがベースラインに移った時、一瞬、何が起こったのか、わか
らなかったくらいスムーズに入れ替わっていたのにびっくり。さすがに「音に違いも分からないくらいだった」とは言わないけれど、ぼんやりしてたら、気づか
なかったもな。僕が「あれっ」と思ったのも、音色の変化じゃなくて、リズムの取り方が変わったからだったし。釜鈴さん曰く、「いつもベースラインを弾いているので、他人にベースラインを弾いてもらって、自分がその上に乗るのは、とても貴重な体験。」たしかになぁ。それも、普段「それって、ベースラインの振りして、旋律ひいてるでしょ」って思うくらいメロディアスなベースラインを弾いている釜鈴さんだからできる芸当だと思うよ。
曲は、Piazzolla、Burt Bacharach、 Stevie Wonder、Beatlesなどなど、メロディアスなものばかり。あ、Stingもあったな。
アレンジ、大変だったろうなぁ。 「ヘ音や」っていうくらい音域は偏っているし、「ええい、ここは、コード鳴らしてごまかしちゃえ」とかできないだろうし、世の中、こんな編成で演奏する人はほとんどいないだろうから、アレンジの参考もないだろうし...。
で、アレンジャーが、お手上げしちゃうと、たいてい、僕の苦手な耳触りが良いだけのサロンミュージック...というか、イージーリスニングになっちゃったりする。なにしろ、初めのうちは「楽器の組み合わせの珍しさ」や「音の組合せの珍しさ」だけで、演奏者たちも面白いし、聴き手も楽しんだ気分になるから、曲のアレンジなんて、それなりでも、しばらくは誰も気にしない。CDになっているようなものでも、こういうのは結構あって、そういうのに出会うと、「ごめんなさい。勘弁してください。」なんていう気分になるんだけれど、今回は、そんな気配は全くなし。彼らにとって「珍しさに負けない音を作る」という実験が、一番大変だったんじゃないかな。僕の勝手な想像だけど。
そんなこんなで、あっという間の45分*2ステージ。お店の中は、お客さんで満員。途中、片してあった椅子だのテーブルだのをひっぱり出してきていたから、大盛況ってところ。
河合さんが「いっぱい、時間を投資してますから」とおっしゃっていたので、また聴けることを期待。3人とも、とても楽しそうだったし、マジメそうな人たちだから、次回はもっとパワーアップしてるんだろうなぁ。楽しみ、楽しみ。チェロの渡辺さんも、ソロの部分を、事前に採譜しないで演奏できる日が来るといいな。人間の習性は、そんなに簡単に変わらないから、「楽譜なし」とか「その場のノリで」は、大変だろうけど。
今度は、秋の夜長に聴きたいなぁ。そんな時期に聞いたら、しんみりしちゃうかなぁ....。
タイトル : サキタハヂメCD発売記念全国TOUR ~Starting Saw Story~
日 時 : 2007年06月2日(土) 20:30~
会 場 : Jamusica ( 札幌市中央区北4条西28丁目1-16 ラ・ワイズビルB1 )
出 演 : サキタハジメ + キッコリーズ・スペシャル(池田靖司(g),出田寿一(per), カポウ(vo, musical saw),鈴木裕(violin), 福由樹子(pf), 古舘賢治(g, vo))
カポウさんののこぎりと出会ったのが、去年の夏。それからすでに10ヶ月。ついに、カポウさんの師匠であるサキタハジメさんの演奏を聴けることとあいなった。カポウさんののこぎりは素敵だけれど、師匠は、なんと17年もの戦歴をお持ちとのことで、そりゃあ、期待は膨らむわけだ。
お約束のようにドジを踏んだ後で、会場のJamusicaへ。30分前に入ったのに、なんとほぼ満席。とても、「あの~、ひとりなんですけど、ごめんなさいね。」といいながらテーブル席に着くのは申し訳なくて、カウンターへ。カウンター席、初めてです。はい。でも、しっかり、ステージど真ん中が見える席を確保するあたり、やるな、オレ。
などと、あほなことを考えている間にも...、次々、お客さんが来るよ。すげぇなぁ。昨年末のカポウナイトみたいな状態。ついには、テレビ局(HBCの『Hana*テレビ』の取材だったらしい)までやってきて、立錐の余地くらいしかない状態に。さて、演奏者は、どうやってステージにたどり着くのかな...と期待していたら、大して苦労もせずに登壇しちゃったので、ちょっと拍子抜け。
さて第一部は、「キッコリーズ・スペシャル」。この名前は、世をはばかる仮の名前で、本名は「デリシャス・毒キノコ団」。「本名の方がイカすじゃん」と思ってたら、「さすがに、食べ物屋で毒キノコはまずいよ」という気配りらしい。色々、気をつかなくちゃならなくて、大変だね。ちなみに、このバンドは、7月16日に屋外ライブを敢行する予定。晴れると良いなぁ。
キッコリーズに、パーカッションとピアノ、それにギターがさらに1本加わって、いつもは3人しかいないステージは、2倍の人数で大賑わい。音も、2倍以上の密度。でも、気心知れたメンバーだから、適度な緊張感と、ほかのメンバーに対する期待感と安心感で、ほんわかした雰囲気。
今まで気づいていなかっのだけれど、鈴木さんのバイオリンの音が、カポウさんののこぎりの音に、きれいに溶け合っていることを発見。僕の悪い耳だと、時々、どちらの音が、どちらのパートを弾いているか、わからなくなることもあるくらい。どっちも、弓で弾いてるから?あんまり関係ないだろうな、これは。気のせいかなぁ。耳が悪すぎるからかなぁ。まさか、お互い、相手の楽器に合わせて、少しづつ、弾き方、変えてる?
小一時間のライブ。背後をきっちり固めているメンバーに支えられて、カポウさんは、いつものように、気持ちよさそうに歌を歌い、のこぎりを演奏。黒幕は、池田さん、実行部隊リーダーは、古舘さん....って感じかな。
休憩後、ついに「カポウさんのいないキッコリーズ・スペシャル」をバックに、サキタハジメさん登場。うわ、師匠、すごいっす。速弾きもすごいけど、高音部分が太い音してるっす。いままで、弦楽器でも管楽器でも「高い音は、細い」っていうイメージあったのに、素人の知らない世界、いっぱいあったっす。
さらには、「のこぎりの音」というと、ぼんやりした音だと思い込んでいたけれど、彼の演奏がつむぎだす音色の引き出しの多さにびっくり。素材が金属なんだから、「音楽に使えるかどうか」は別としても、奏法によって、「もっと金属っぽい音」とか色々な音が出るのは当然だよな。でも、見ていると、音が劇的に変化しても、奏法は、それほど違うようには思えない。このあたりは、企業秘密かしらん。
クラッシック、ポピュラー、自作曲を混ぜながら....あ、そうそう、大阪人らしく、一人でボケとツッコミのMCも入りながらのステージ。当たらし目の曲は、日本の曲でも海外の曲でも、マッチする。アレンジの問題だったのか、選曲の問題だったのか、プッチーニの『だれも寝てはならぬ』は、微妙な感じ。どうしても「面白音楽」に聞こえてしまう。後半に演奏した北原白秋作詞の「かんぴょう」のように、演奏者が「面白音楽」のつもりで演奏してるなら、それで良いんだけど、この曲のようにマジメに演奏してるっぽい曲が、「面白音楽」に聞こえてしまうのは、ちょっともったいない。バッハの無伴奏チェロとかだったら、違和感ないかもぁ...などと、無責任に考えたりしたのだった。
最後は、カポウさんも加わって、歌付ののこぎり二重奏。前にフェイターンさんのテルミンと演ったときに、二人とも「どっちのおとか、わからなくなっちゃった」って言ってらしたけれど、今回は、大丈夫そう。「修行の成果?」と思ったら、「前回の失敗を教訓に、モニター使いましたから」とのこと。「でも、時々、わからなくなった」らしい。わはは。
キッコリーズの時は、自分の世界に浸っているカポウさんも、今回は師匠の音を気にしながらの演奏。どう見ても「姉、成長した弟を見守るの図」。ステージ後に、カポウさんに伝えたら、「同じ歳なのにぃ....」。あらら、褒めたつもりだったのにな。
タイトル : 日倉士歳朗/池庄/拳法
日 時 : 2007年05月24日(木) 20:30~
会 場 : フライアーパーク
( 札幌市豊平区平岸4条7丁目12-10 Y's CITY BLD 1F / http://www.st-seki.com/fp/index.html [ map ])
出 演 : 日倉士歳朗(g, vo)/ 拳法( 古舘賢治(g), カポウ(vo, music saw) )/ 池庄( 庄司聡史(g), 池田靖司(g) )
実は、結構疲れていて、当日朝まで、行こうかどうか迷っていたのだが、まぁ、このメンツ、ハズレはないだろうと信じて、お出かけ。
まずは、お約束の失敗。初めてのフライヤーパーク、見つけられなくて、30分ほど、ご町内をうろうろ。かなり不振な奴に見えたと思う。
で、最初に登場したのは、拳法。なんでも、「結成一執念」(誤字じゃないよ)なんだそうで、「いままでにやってきた曲を」とCDに入っている曲を数曲。いつもながら、耳にも、心にも、たぶん、身体にも優しい音。とても素敵な時間のはずなのだけれど、疲労がたまっている状態では、かなり.....つら........い.......。目をつぶって聞いていると、ついつい、あっちの世界に引きづられて行きそう。むむぅ、聞きたい....、でも、この波に乗せられて、熟睡してみたい.....。2人がつむぎだす柔らかい音とは裏腹に、僕の中では壮絶な戦いが...。危ない、危ない。
続いて、池庄。復活3回目....くらいのライブ。前回、聞いたときに、「やっぱ、凄腕」と感心したのだけれど、実は、あの状態にして、まだ本調子ではなかったというとんでもないことが判明。「演奏技術が上がった」とかいう話ではなくて、息の合い方とか、そういうレベルの問題。今回は、特に庄司さんがリラックスしてて、今、思えば、前回は池田さんが押し気味だったらしく、今回は、押された庄司さんが押し返す...という互角の勝負に。前回は、あれでも緊張してたんだなぁ。MCで「いやぁ、緊張しますね」とか言ってるので、このあと、さらにすごいことになるのかもしれない。楽しみだなぁ。
で、メインアクトの日暮士歳朗さん。狭いステージ上に、ギターにスチールに...と並ぶ、並ぶ...。「ま...まさか、一度に複数の楽器を弾くという曲芸に走ったのか」と思ってドキドキしたけれど、そんなギャグ狙いをするわけもなく、その太くて渋い声のブルースとゴスペルが、店内に響き渡った1時間強。
それにしても、主軸がぶれない安心感があって(ちょっと前に感じた「曲芸」疑惑は、びっくりしたけど)、でも、ぶれない主軸の周囲に広いストライクゾーンがあってという、ひとつのことを、長く、かつ真剣に続けてきた人たちが持つ独特の雰囲気が心地良い。演奏してるときの表情も、良かったなぁ。拳法、池庄、キッコリーズの人たちも、彼の年齢になったら、こんな雰囲気になるかなぁ。
途中、キッコリーズとモジョでバイオリンを弾いている鈴木裕さんが加わったり、ブルースハープの若者(ごめん、名前を失念)が参加したりで、大盛り上がりなライブ。(うわさでは、このあと、この日、ステージに上がったひとたち全員が、酒を飲みながら、朝まで演奏を続けるという企画もあったらしい。実現したかどうかは、不明....だけど、きっと、やったんだろうなぁ。)
元気、もらいました。エネルギーも受け取りました。ありがとう。
さて、この日の最大の失敗。疲れてぼんやりしていたので、日倉士さんのCDを買ってサインしてもらうのを忘れて店を出てしまったこと。ああ、なにやってんだ、オレ...。
タイトル : カマスズ&フクAcoustic Project
日 時 : 2007年05月19日(土) 20:00~
会 場 : Radio & Records( http://www.k3.dion.ne.jp/~radireco/index.html )
出 演 : 河合修吾(tb), 福由樹子(p), 釜鈴徹(b), 本間哲(per)
世間は、狭い...なのか、札幌の音楽業界が狭い...のか、たまたま僕が聴きに行くライブに、つながりのある人が多い...のか、よくわからないけれど、ライブに行くと、Dr.Stanleyの「6次の隔たり(Six degrees of separation)」みたいなことが続いている。
前回の池庄の庄司さんなんて、その典型みたいなものだ。で、今回の「あら、知り合いの知り合いだったのね」は、ピアノの福由樹子さん。「どこかで聞いた名前だなぁ」と思って、記憶だの、メールだの、RSSだのを漁っていたら、キッコリーズつながりだった。へぇ...、しゅごっちい氏と、そんなところでつながっているなんて。あとで伺ったら、僕の知り合いのキーボードi.dai介氏ともつながってることが判明して、彼女が貸した楽譜を取り返す話に発展。
というわけで、カマスズ & フクのライブ。ラテンが中心の、Happyなライブ。メンバー全員が、自分の好きな曲を持ち寄って演奏するという、「オレの重いが詰まった曲」セレクション。ラテンの名曲から、アルフィー、ケイトブッシュ、そしてウルトラマンのテーマまで幅広いジャンルの曲が並ぶ。下手すると、とりとめなく「曲が並んでいる」だけのセッションになりかねないけれど、それをなんの違和感も無く、ラテンリズムにのせて演奏してしまうという不思議な時間。
「へぇ、あの曲って、こんなにラテンリズムに合うのか」という発見多数。まさに「アレンジの妙」って奴を見せてもらった感じ。きっと、この芸達者な部分が、福さんのwebページにある「大人のアコースティックセッション」の「大人」の部分なんだね。
初めてのRadio & Records。座った席が良かったのか、目をつぶって聞くと、音に身体の回りを包み込まれるような感じがする。特に、釜鈴さんのベースの音は、ベースライン引いているときも、リードを撮っているときも、心地よい音で聞けて、幸せ満点。どうも、「包み込まれた」だけではなくて、身体の中にもしみこんでたらしく、次の日一日、身体のどこかから、そこで聞いた音が鳴っているような気がしたのは不思議な体験。
惜しむらくは、お客さんが少なかったこと。こんな楽しいライブ、みんな、もっと聴きにくれば良いのに...と思うんだけど、実は「自分たちだけの幸せな時間」を持てたことを感謝すべきか?また、聴きに行きたいなぁ。
タイトル : 池庄
日 時 : 2007年04月27日(金) 20:00~
会 場 : JAMUSICA( http://www.jamusica.jp/index.html )
連休前に片付けなくてはならないことが、いっぱいで、金曜日は朝から出ずっぱりで色々しでかした。
で、こういう日には、最後にご褒美がほしいわけで、楽しみにしていた「池庄( http://www.h4.dion.ne.jp/~ike-show/ike-show/profile/profile.html )」のライブへ。
あ、ちなみに、池庄は、キッコリーズ( http://sound.jp/kiccories/ )とか、バミューダトライアングルとかの池田さんと、僕の中では「とある専門学校のギターのせんせで、衣装はいつもTシャツにウインドブレーカ」という認識の庄司さんのギターデュオ。
前から色々と噂は聞いていたし、webには、バンドのコンセプトは「感動を言葉に変換するのではなく、自然な音の流れとして表現すること」なんてカッコいいフレーズが書かれているし、周囲の「音楽でご飯を食べている人たち」に聞くと、ほぼ全員、名前は知ってるけれど「現物を観たことがある人の数自体が、ツチノコの目撃者より少ない」という、ネッシー級の「幻のデュオ」だし、観た事がない人たちが口をそろえて「あの二人だから、半端じゃないこと、やってるでしょう」なんていうし...で、半年前の再結成ライブを見逃してから、ますます気になってたんだけど、どうも、あのJamusicaに出没するらしいといううわさを聞きつけて、わくわくしながら行ってみたわけだ。
あまりにわくわくしてたもんだから、開演時刻1時間まちがっちゃったよ。まぁ、20時を19時だと思ってたのは、不幸中の幸い。
で、結論。僕たちの目の前にギターを抱えて現れた二人。それは....単なるオタクだった....。いや、「単なる」じゃないな、「スーパーで、ハイパーで、すげーオタク」だった。「オタク」って表現がマズければ、「ウルトラ・ギター小僧」ね。僕の中では、ほとんど違いがないけど。いいなぁ、オタクデュオ....。
オタクには、かなり細かな分類があって、たまたま同じ分類に属する人たち、すなわち、同じ部分にこだわる人たち同士は、その人たちだけにしかわからない言語で会話する。鉄オタなんかを観察すると、それが良くわかる。この二人もそんな感じ。一方がなにやら仕掛けてるらしい。それは、フレーズなのか、音の強さなのか、リズムなのか、表情なのか、テレパシーなのか、彼らの言語がわからない僕には予想だにつかないけれど、相手にちょっかいだしてるっぽい。で、もう一方は、「売られたけんかは、買おうじゃないの」ってやり返して、お互い、「ふふっ、お互い、やるなぁ」って表情になる。うーん、その会話が理解できないのが、かなり悔しい。「ま、人間、知らないほうがいいこともあるから」と自分を納得させながら聴いてるんだけど、気になるなぁ。もしかして、会場にいた「ギター小僧」は、あの二人の会話を理解できているのか?ちょっと悔しいな。
キッコリーズや、バミューダで見かける池田さんを見ていて「楽しそうに弾く人だなぁ」と思っていたけれど、「他の楽器とやってる時は、やんちゃしないように、我慢してたのね」って気がするくらい、池庄の池田さんは「えへへ、二人のときは、やりたい放題、やっちゃうよ」っていういたずらっ子な面...というか、抑制効せる気がない状態が垣間見える。
庄司さんも、池田さんに仕掛けられたり、あおられたりするのが楽しくてたまらないって感じ。他の人たちとやっている庄司さんは、どんな感じなんだろうなぁ。
はっきり言って、前述のコンセプトなんて「何するものぞ」のやりたい放題。じゃれあっていたと思ったら、突然、真剣勝負に変わったり、相手の手を読もうとしたりする緩急が音に出てきて、聴いている側は、とても楽しい。もう、誰も二人を止められない。聴いてる僕たちも、止まらない。New Trad Boogie(だったと思う)のときなんて、「このまま、いつまでも弾いててよ」と思ったもんなぁ。
ただ、こんな「やりたい放題」も、二人ともが凄腕だから許される話。途中、二人の指の動きをじっと眺めてみたけれど、二人とも、ギターが身体の一部になってる...っていうか、身体から楽器が生えている....っていうか。実は、二人とも、人の形をしたギターだったら.....、さすがに、それはやだな。
こんな二人の姿を、「デジャブだなぁ...」と思っていたら、思い出した。やっぱり、以前、同じ雰囲気の二人組を観たことがあったんだ。20年近く前に、屈斜路湖畔のカムイ・トラノで観た二人組。渡辺香津美さんと山岸潤二さんのギターデュオの演奏がこんな感じだった。それから、同じフェスティバルで観た山下洋輔パンジャスイングオーケストラでタイコ叩いてた小山彰太さんと村上ポンタさんの二人組。どっちも、音の種類は違うけど、演奏中の二人は、まさにこんな感じだった。彼らも、凄腕だったよなぁ。
「すげーぞ、凄腕」と思ってしまった二人だけれど、活動休止したり再開したりしてるところを見ると、凄腕には凄腕の悩みとか迷いがあったらしい。フッ切れたのかなぁ、悩み。それとも、実は、まだ悩んでいるけれど、悩みを解決するには、二人で続けるしかないという結論になったのかなぁ。どのみち、聴き手である僕にとっては、これからも、彼らを聞き続けるチャンスがあるというのは、とてもうれしい。
で、次回のライブは、6月29日(金)。行きます、行きます、何をおいても行きまするぅ....と盛り上がっていたのだけれど、一夜明けて気がついた。6月30日(土)は、「オープンソースカンファレンス2007 Hokkaido」ではありませんか。もちろん、前日は、仕込みの日。むむむ、これは悩ましい。これは、もしかして、29日のお昼ころから、おなかが痛くなるとか、すでにこの世にいない両親に、もう一度危篤状態になっていただくとか、行方不明になって、土曜日の朝に「昨日の記憶を探してるんです」とかブツブツ言いながらOSC会場に出現するとかしないといけないかも....。
...ってのは、もちろんダメだよなぁ。8月26日のTTC( http://www.ttc-music.com/cgi-bin/sopics.cgi )に行くしかないかなぁ。
当面は、入手したCDで、ライブを思い出して大満足...と。
あ...しまった。二人のことばかり書いてて、「池しょう」と「池しょう庄」のこと書くのを、すっかり忘れてた。
「池しょう」は、池田さんと佐藤しょうこさん(ピアニカ)のデュオ。「池しょう庄」は、池庄+佐藤しょうこさん。
小学校時代にお世話になったピアニカ。当時の経験から、ピアニカのことを「子供の楽器」とか「表現力不足な楽器」とか「ガサツな音しか出ない楽器」とか思ってたけど、私がまちがっていました。自分の技術不足を楽器のせいにしていた、私が悪うございました....と、お詫びするしかないような、ピアニカの演奏を聞かせていただきました。実は、奥が深い楽器だったですね。彼女は、庄司さんとのデュオも組んでいるらしい。こっちも気になるなぁ。
タイトル : 年忘れだョ!カポウのあと2日寝Night!
日 時 : 2006年12月30日(金) 20:00~
会 場 : JAMUSICA( http://www.jamusica.jp/index.html )
今年は、色々な人に出会った。というか、「今年も、色々な人に出会った」んだけど、いつもの年とちがうのは、パワフルに物を作り続けている人たちが、圧倒的に多かったということ。
始めのうちは、「おお、こんなこと、考えてるのか」「こんな風な、見方もあるのか」とか大喜びしていたのだけれど、後半戦は、彼らの毒気....いや、すざまじいパワーに圧倒されて、インプットの激流に巻き込まれた挙句、自分自身のアウトプットが全然できなくなってしまっていた。毎日のルーチンワークは、ほぼ問題なくできるのが不幸中の幸いなんだけど、自分が何を出力して良いのかもわからないし、どうしたらいいのかもわからない。スコット・フィッツジェラルドの「魂の真の闇夜にあっては、来る日も来る日も、時刻はいつも午前三時なのだ。この時刻には人は、ものごとを直視することを可能な限り拒否し、子どもじみた夢の中に引きこもってしまおうとするものだ。」(スコット・フィッツジェラルド/村上春樹訳『ひびの入った皿』)というほどひどくは無かったものの、かなり近い状態。やばい、やばい。
そんな日々が数ヶ月続いた年末のこの日、今年最後の「のこぎり」を聞きに出かけてみた。
のこぎり弾きのカポウさん( http://www.cafeblo.com/kapo-schedule/ )は、今年、出会った人のひとり。「あと2日寝Night」というタイトルも、オヤジギャグっぽいし、ポスター( http://air.ap.teacup.com/kenpo/img/1165372492.jpg )も.....むむむ、ちょっとはずかしいぞ、パンダのきぐるみ。
今回のライブは、キッコリーズ( http://sound.jp/kiccories/ )、バミューダトライアングル、拳法( http://air.ap.teacup.com/kenpo/ )とりその周辺の演奏者たちが、総力を上げて、カポウさんをサポートするライブ。ギターのいけださんなんて、「カポウの手となり足となり踏み絵となり、今年最後のライブで砕け散る覚悟」(会場で配布された冊子)とまで、決意表明しちゃうくらいだし、ビアノの秋元さんは「これを最後に、ライブは、しばらくお休み」とのことなので、かなり力入ってます。
メンバーは、カポウさんの歌とのこぎり、有本さんのピアノ( http://tosh211.blog72.fc2.com )、池田さん( http://www.h4.dion.ne.jp/~ike-show )と古舘さん( http://kendikuun.seesaa.net )のギターとベース、出田さん( http://homepage3.nifty.com/idepage/ )のパーカッション、そして、鈴木さん( http://www7.plala.or.jp/mojohouse/ )のバイオリンとギターという構成。
キッコリーズみたいに3人しか演奏者が居ない状態でも狭いステージ(といっても、「客用のテーブルがない部分」ってことだけど)が、狭い、狭い。椅子とマイクスタンド、楽器とエフェクターで、足の踏み場無し。「どこで演奏するんだよ」と思っていたら、メンバー、どやどやと登場。うわ~、キツそう。最後に登場したカポウさん、マイクスタンドのアームの下を、ほぼリンボーダンス状態で通過.....するかと思ったくらい。
今回のライブは、年末特別企画なので、スペシャル3部構成。一部と三部で、普通のライブ。二部が、お楽しみ大会。あ、そうそう、それに、やさしい雰囲気満点の、プログラム付き。これがまた、手書きの部分があったり、スタンプ押されてたりで良いんだなぁ。
楽しそうにギターを弾く池田さん(彼には、「怒る」ということがあるのかしらん。)と、マジメな顔をしているはずなのに、なぜか表情の下に笑い顔が隠れていそうな古舘さん(何を考えて弾いているのか、聞いてみたい気がするんだけど....。)のふたりは、いつもどおり、息の会った演奏。交代でベースに持ち替えている。ふたりがベースを弾いているのを見るのは始めて。古舘さんは、「慣れてないから難しいけど、やってみると楽しい」と話していたけれど、全然難しそうに弾いてないところが、「一芸に秀でた者は」ってところだな。
ひげの鈴木さんも、いつもどおり、自分の世界に浸った状態でギターとバイオリンを奏でている....ように見えているけれど、時々、垣間見せる鋭い視線は、メンバー全員の動きをフォローしてるのかしらん。もしかして、影のリーダーか?
初めて聞く有本さんのピアノ。演奏が始まるまでは、ちょっと緊張してたのか、「むむ、ちょっと神経質なのかしら。他のメンバーがやわらかい表情してるのと対照的だなぁ。表情と同じに音も硬かったら、ピアノだけ浮いちゃうよなぁ」と思っていたのだけれど、最初の一音を出した瞬間に表情が一転して、やわらかくなった。音も、表情どおりの柔らかさで、他のメンバーの音としっくり来る。「類は友を呼ぶ」のか?なんか、この使い方、違う気がするけど、まぁいいや。
パーカッションの出田さんを聴くのも、初めて。音を出すためには、基本的に「叩く」という方法しかないパーカッションなのに、どうして演奏者によって(もしかすると、演奏者の気分によって)、音が全然変わってしまうのが、いつも不思議。よく見ていると、「叩く」といっても様々なやり方で、様々な部分で叩いているのがわかるんだけど。弦を使った楽器の音に、違和感無く溶け込んでいたので、最初、叩いているのに気づかなくて「ああ、この手の音の中だと、パーカッションは出番が少なくて暇してるのね」と思っていたのだけれど、休み無くぽこぽこしていた。それも、窓際の一番寒い場所のはずなのに、半そで(うでまくりだったかな)になっちゃうくらい熱演してた。打楽器が、こんなに弦に溶けるものだとは思わなんだよ。
で、主役のカポウさん。ひとり楽しそうに遊んでいた。「これだけかっちり、バック陣が固めている土俵があれば、何の不安も無く、遊び放題だよなぁ。」と勝手に納得。
今年になって聴き始めた、そして短期間で耳に馴染んだキッコリーズ、拳法、バミューダの曲が次々と演奏される。楽器が多いせいか、演奏している人たちのテンションが上がっているからか、いつもよりも音の密度が高いような気がする。
途中、どこかで聴いた、でも、カポウさんの曲ではないフレーズが流れる。川村結花のEvery Breath You Take。「そうだよね、川村結花やるなら、1枚目、2枚目か3枚目じゃなきゃ」と、最近の作品が苦手な僕は一人ごちる。それにしても、ピアノじゃない川村結花の曲ってのも、良い感じだなぁ。
第二部は、古館-麺冶-賢治氏主催の、up the wind選手権と、古舘さん+有本さんだけのMUFFLEスペシャルライブ。
up the wind選手権は、「せっかくCDに入れたカラオケ部分を有効利用しよう」と古舘さんが思いついた...らしい企画。ほとんど参加者がいないけれど、彼が気力...もしくは意地で続けている雰囲気。会場に「参加したい人」と呼びかけても.....出てこないよなぁ、あの雰囲気じゃあ。というわけで、会場からの参加者が出ないので、演奏者自ら、楽器を弾きながら歌うことに。結果は.....。スペシャルライブの話に移ろうか。いや、池田さんが古舘さんそっくりに歌ってるところとか、出田さんが歌いだすタイミングを失している間に、古舘さんが歌い始めちゃったりとか、お腹抱えて笑ったし、面白かったけど、あれは「選手権」じゃなかったしなぁ...ってこと。
一方、MUFFLEは、やさしい音色が響き渡って、全員、ちょっとしんみり。「今日で、しばらく、ライブからは距離を置く」という有本さん。もったいないなぁ。「もっと前に知ってたらなぁ」と、悔しい気持ちもするけれど、最後の一回(あ、本当は、「最後」じゃないか)とはいえ、聴くことができたことを幸運だと思って、音楽の世界に戻っていらっしゃる日を楽しみに待つことにしよう。
なにやかにや、大盛り上がりして、最後の曲は、ユニコーンの『雪の降る街』。いままで、この曲を聴いても、あまり年末感が無かったのだけれど、彼らの演奏を聴いていたら、やっと「年末だなぁ」という気分になってくる不思議。そして、ちょっと、しんみり。アンコール2曲をやって、ビールが呑みたくてウズウズしているカポウさんたちを演奏から解放。
体の周りにまとわりついていた、「見えない何か」を取り払ってくれたような、素敵な年末の一夜の夢。
ライブの次の朝、僕は、久しぶりに新しいものを作り始めた。